性別適合手術の保険適用

体の性と心の性が一致しない性同一性障害(GID)の治療として、子宮や精巣を摘出するなどの性別適合手術が、4月から公的医療保険の対象となりました。法務省などによると、これまでに国内で戸籍上の性別を変えた人は約7千人に達しています。半数以上はタイなど国外で性別適合手術を受けたと見込まれています。今年4月から、手術件数や専門医の在籍などの条件を満たし、GID学会が認定する医療機関で、保険適用の手術が受けられるようになりました。
しかし、手術前にホルモン療法を受けてしまうと、保険診療と自由診療を併用する混合診療となってしまい、手術代が自己負担になってしまいます。卵巣や精巣を取ったり、膣や陰茎を作ったりする手術では、手術後に継続的に使うことなる性ホルン製剤によって、副作用の問題が起きないか、あらかじめ使って調べることが一般的になっています。術前にホルモン治療を行えば、混合治療になってしまい、手術に保険が効かなくなってしまいます。

 

性同一性障害は、現在は、体の性を泌尿器科医か産婦人科医が決定し、心の性を2人の精神科医が決定します。体と心の性が一致していないことを確認して診断が確定します。国内のガイドラインは、精神科医が中心の日本精神神経学会が定めています。世界保健機関(WHO)の分類では、性同一性障害はこれまで精神疾患に分類されていました。しかし、6月に公表された新たな分類案では、精神疾患から外れ、名称も変更されました。病気というより、多様性の一つという世界的な流れに沿った変更であり、国内のガイドラインの見直しも検討する必要が出てきます。

(2018年8月29日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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