性同一性障害特例法に基づく性別変更

2004年施行された性同一性障害特例法に基づき、戸籍上の性別を変更した人が、2019年までの15年間で計9,625人に上っています。年間の件数は年々増加し、2019年は過去最多の948人で、1万人突破は目前です。2020年は、新型コロナウイルス禍の渡航制限や経済的苦境などで延期せざるを得なかった人もおり、一時的な減少も予想されています。
性別変更は、2人以上の医師から性同一性障害と診断された上で、①20歳以上、②現在未婚、③未成年の子どもがいない、④生殖腺がないか機能がない、⑤別の性別の性器部分に近似する外観を備えているの全てを満たせば、家裁の審判を経て可能となります。このうち④、⑤は性別適合手術が必要です。
日本学術会議は、2020年9月に発表した提言で、年齢要件以外は当事者に離婚を強制して子どもを追い込み、生殖機能を奪う高すぎるハードルだとして撤廃を提案しています。WHOなどの複数の国際機関も、2014年に性別変更のために不本意な不妊手術を要件とすることは、人権侵害だとする共同声明を出しています。
法律の要件に加え、金銭面や健康面、家族ら周囲の反対、対応できる医療機関の少なさなどから、望んでも性別変更できない人達もいます。変更要件に含まれる性別適合手術で、健康を害している人もいます。性別変更も含め、誰もが望んだ生き方を叶えられるよう、社会の理解を促進していくことが必要です。

(2021年1月4日 岐阜新聞)
(吉村 やすのり)

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