患者の窓口負担と外来者数の関係

医療経済学の重岡仁博士の分析によれば、窓口負担と外来者数との間には密接な関係があることが分かっています。政府は2014年に、70歳から74歳までの窓口負担を1割から2割に増やしています。2014年以前のデータによれば、69歳11カ月から70歳になるところで、急激に患者数が増えていることが見てとれます。70歳を境に外来者数は、10.3%増加していました。入院も同様であり、70歳を境に入院者数が8.2%も増加していました。
おそらく69歳11カ月から70歳にかけての1カ月では、健康状態は自然にはほぼ変わらないといえます。もし、この1カ月の間に変化するのが窓口負担だけであるならば、70歳になった途端に医療費が増えたり、健康状態が改善したりすれば、それは窓口負担が減った効果であると断定できます。つまり医療費の削減という点で、ある程度の窓口負担は効果的であるといえます。それに伴って患者の健康状態が悪くなった証拠は見つかっていません。

(2018年12月6日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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