手や指のしびれ

中高年の手や指のしびれは、原因の多くは手根管症候群や頚椎症など神経の圧迫で起こるものです。加齢によって骨の変形や周辺組織の肥大が起こり、それが神経を圧迫します。首の頸椎を通る脊髄や頸椎から出る神経根が圧迫されて起こる頸椎症は、姿勢の悪さが原因になることも多く、猫背の人に発症しやすいと言われています。良い姿勢を保つことが予防につながります。パソコンやスマートフォンを長時間使っているとなりやすいとされています。脳梗塞、パーキンソン病、糖尿病などで、手のしびれが起こることもあります。
指のしびれの原因として多い手根管症候群は、靱帯が厚くなって手首の正中神経が圧迫されることで指がしびれる病気です。患者は大半が女性で、女性ホルモンのバランスが崩れがちな50代以降と妊婦に多くみられます。親指から中指にしびれを感じる一方、小指はしびれないのが特徴です。
手首を曲げるとしびれが強くなるので、治療には手首を固定するサポーターが使われます。薬物療法では、神経の働きを良くするビタミンB12、神経の痛みを取るプレガバリンなどが使われます。しびれや痛みが強い時は、麻酔作用のあるブロック注射を打つこともあります。改善しない時は、手術で靱帯を切り開き圧迫部分を取り去ります。最終的に手術に至る患者は4~7割程度です。術後、半年ほどでしびれが改善していきます。

(2021年3月27日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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