抗がん剤の廃棄

抗がん剤の点滴薬や注射薬は、「バイアル」という瓶の単位で売られている製品が多くなっています。身長や体重から求めた体表面積などに応じ、患者ごとに使う量が違います。このため、1本分の薬剤を1人の患者では使いきれず、余ることがあります。いったん瓶を開けた状態での保存は、メーカーが品質保証していません。余った分は捨てるのが原則です。国内で使わずに捨てられる抗がん剤は、年間738億円分にものぼっています。
本庶佑先生のノーベル医学生理学賞の受賞決定で話題のオプジーボは、1回の平均使用量は115.97㎎で、平均廃棄量は9.98㎎です。7.9%が捨てられています。2016年7月~2017年6月の1年間で換算すると、市場に出た1,148億円のうち、90億7千万円分が捨てられていたことになります。バイアルで売られている抗がん剤など全体では、7,566億円のうち738億円(9.8%)が使われずに捨てられたと試算されています。厚生労働省はようやく今年になり、廃棄を減らすため、ひとつのバイアルの抗がん剤を、2人の患者に分けて使うことを認める指針を出しています。

(2018年11月21日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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