摂食障害

 摂食障害は若い女性に多い病気と考えられてきましたが、中高年や男性でも増えてきています。摂食障害の3つのタイプに大別されます。過食性障害(夜食症候群)、過食症、拒食症(神経性やせ症)です。
 過食性障害では、発作的なドカ食いを繰り返し、急激に体重が増加します。苦しいくらい満腹になるまで食べてしまい、そのことに自己嫌悪を感じています。しかし、吐いたり、下剤を使ったりすることはありません。社会的孤立、自己嫌悪、仕事上の問題などのストレスが原因で起きている摂食障害です。過食性障害の中でも多いのが夜食症候群です。男性に多く、週2回以上、19時以降に1日分のカロリーの半分以上を摂取し、さらに夜中に起きては何か食べてしまいます。熟睡感がなく昼も眠い、朝食が食べられない、気分が落ち込んで自己評価が低くなるなどの特徴があります。
 一方、過食症は、過食に嘔吐や下剤使用を伴います。嫌な気分を忘れるために過食します。体に大きなインパクトを与える過食が癒やしとなりますが、暴食した後、我に返り、太る恐怖に襲われ嘔吐や下剤を使用したりします。嘔吐には嫌なものを出すといった心理的な作用もあるため、吐くことは患者にとって快感でもあります。過食症は心の病気であり、治療には困難を伴います。認知行動療法や対人関係療法などの精神療法が必要となることもあります。過食症は引きこもりにもつながります。
 拒食症では栄養失調により多様な合併症が起こりますが、低身長や骨粗鬆症、不妊などが後遺症となりえます。食への執着、不安、うつ、認知障害、思考力や判断力の低下なども生じることがあります。また、若年層における精神疾患の中で最も死亡率が高い(6%~11%)病気でもあります。拒食症の患者は、やせると物事が上手くいくと思い込んでおり、食べなくても元気で、長時間勤務などもこなします。入院による栄養療法をすすめる目安は標準体重の65%以下です。
 拒食症の治療は何より体重を増やすことですが、食べさせるのは非常に困難です。本人の話しをよく聞きながら、当面のストレスを減らせるように、仕事量を減らす、年休を使うようにすすめる、時には遅刻や早退を認めるなどして、落ち着いて自分の体を考えられるような状況を作っていくことが大切です。ホッとできる、相談しやすい環境をつくるなど、信頼感を持ってもらうことが大切です。本人が楽になれる場を作ることが先決です。
 拒食症の後に過食症になる人もよくみられます。両方とも食行動の異常であり、心の病であり、数年から十数年に及び、長期的なメンタルケアが必要となります。家族や職場での理解と支持なくして、摂食障害を乗り切ることは困難です。

(2017年6月15日 よぼう医学)
(吉村 やすのり)

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