摂食障害

摂食障害とは、体重や食物に対する過度なこだわりがあり、普通に食べられなくなってしまう病気です。極端に食べる量を減らす神経性やせ症(拒食症)と、大量に食べ続けてしまう神経性過食症(過食症)に大別されます。過食症にはむちゃ食いのほか、食べた後に吐いたり下剤を使ったりして排出を繰り返すものがあります。完璧主義や自己評価が低いといった心理的な要因、家庭環境、やせを礼賛するマスコミなどによる社会的な影響などが、複合的に重なって発症すると考えられています。厚生労働省研究班の調査によれば、国内の患者数は推計2万5千人とされています。
アスリートが摂食障害に悩むことも多くなっています。フィギュアスケートや新体操といった審美性のある競技や、陸上の長距離などは体重管理を強いられることがあります。忍耐力がある、完璧主義、指導者にとっていい子であろうとするといった選手心理から、一般の人に比べ摂食障害のリスクが2倍以上高いとする研究もあります。
摂食障害は無月経になることが多く、骨の発育に必要なエストロゲンが分泌されなくなります。思春期での過激なダイエットは、遺伝的に決まった大切な最大骨量を失うことになります。この骨量の減少が、将来骨粗鬆症につながります。また無月経をきたすこともあるやせでは、そもそも妊娠が難しいのですが、仮に妊娠しても妊娠前や妊娠中の低栄養状態が、胎児を成人病予備軍にしてしまうこともあります。

(2018年6月1日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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