放射線治療の進化

がんの放射線治療が大きく変わってきています。外から放射線をあてるがん治療は、X線と、陽子線や重粒子線を使う粒子線に分けられます。①完全に治す、②がんの大きさを一定に抑える、③転移による痛みをやわらげるなど、あらゆる目的で使われています。
X線は、ほぼ全てのがんで公的医療保険が適用されていて、粒子線治療も一部がんで保険適用が始まっています。公的医療保険の対象にならない部位でも、国が先進医療として認めていれば、民間の医療保険が使えることがあります。近年、陽子線と重粒子線による治療が増えてきています。陽子線治療は、2016年に小児がんで公的医療保険の適用となりました。年間約2,500人が新たに小児がんと診断されていますが、今や8割が治るとされています。
今年6月に、ホウ素中性子捕捉療法という新しい放射線治療も、頭頸部がんで公的医療保険の適用になりました。がん細胞にホウ素薬剤を取り込ませ、そこに中性子線をあてることにより、細胞内でホウ素が反応し、細胞の中からがんを死滅させることができます。

 

(2020年11月28日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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