教育の無償化

憲法26条2項において、義務教育は、これを無償とするとしており、政府は国公立の小中学校に限って授業料を徴収しないことと解釈しています。一方、国は、私立学校振興助成法に基づき補助金を出しており、私立も含めた小中学校の教科書を教科書無償措置法に基づいて無償としています。自民党は2017年衆議院選挙の公約で、改憲4項目の一つとして教育の無償化・充実強化を掲げています。教育の充実を目指す自民案は、教育を受ける権利を定めた26条に3項を新設します。3項は「国は、各個人の経済的理由にかかわらず教育を受ける機会を確保することを含め、教育環境の整備に努めなければならない」としています。
幼児期の教育から高等教育に至るまで無償とすると、年3.7兆円が必要とされます。国民から広く集めた税金を進学意欲の高い知識層に手厚く回せば、格差拡大を助長するとの指摘があります。生涯賃金を大きく左右する高等教育は、原則自己負担が望ましいという考え方にも根強いものがあります。高等教育の無償化は、質の良くない大学の延命策にもつながりかねません。また、高卒で働く人に不公平感が出ることも考えられます。

(2018年3月27日 読売新聞)
(吉村 やすのり)

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