新型コロナの後遺症

新型コロナウイルスに感染した人のうち、PCR検査で陰性が確認された後も、長く後遺症に苦しむ人が一定の割合でいます。143人を分析したイタリアの報告では、発症60日後の段階で、だるさ、呼吸困難、関節痛など何らかの症状が残っている患者は87.4%にのぼり、44.1%の患者が生活の質の悪化を訴えていたとしています。国立国際医療研究センター病院の調査によれば、2~6月に退院した患者63人では、発症60日後でも、嗅覚障害12人(19%)、息苦しさ11人(18%)、体のだるさ10人(16%)、味覚障害3人(5%)が確認されています。
後遺症の原因として、一つはウイルスが細胞を直接攻撃したり、ウイルスを撃退しようとしてサイトカインストームと呼ばれる免疫の暴走が起きたりして、臓器障害を引き起こした影響です。重い肺炎になったり、ARDS(急性呼吸窮迫症候群)が治る際に細胞の壁が硬くなる線維化が起こったりして、長引く呼吸苦や息切れの原因になります。
もう一つは、療養環境です。病院や施設に長期間隔離され、家族や友人らと会えずに過ごしたことによる精神的ストレス、また入院や療養の長期化による筋力低下も影響します。治療法は確立されておらず、対症療法が中心となります。

(2020年11月27日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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