新型コロナウイルスと季節性インフルエンザ死者数の違い

新型コロナウイルスの現在までの死者数と2017年の季節性インフルエンザの死亡者数は、国によって大きく異なっています。新型コロナウイルスで多くの犠牲者を出している国の死者数は、季節性インフルエンザの死者数の数倍に達しています。米国は7月末時点で新型コロナウイルスの死者が15万人を超えていますが、2017年の季節性インフルエンザの死者数は約4万人でした。ブラジル、英国、イタリア、フランス、スペイン、メキシコも同じような傾向が見られます。
他方、新型コロナウイルスの死者数が1万人以下の国では、この関係が逆転しているケースが多くなっています。中国、パキスタン、インドネシア、バングラデシュ、そして日本、韓国でも、季節性インフルエンザの死者数の方がはるかに多くなっています。季節性インフルエンザでは、ワクチンや治療薬が開発されていても多くの人が亡くなっています。このような結果からも、これまでの季節性インフルエンザと比べ、新型コロナウイルスの感染性や重症度について、専門家の間でも見解は分かれています。しかし、こうした数字は、ウイルスと人間の関係、それぞれの社会が抱える問題、対処すべき方策が国や社会で異なるという点で問題の複雑さを示しています。

(2020年8月4日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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