新型コロナリスクの評価―Ⅱ

リスク評価基準
これまでマスコミが監視で軸足を置いてきたのは、感染者数の動向です。しかし、新型コロナウイルスの場合、感染しても発症しない不顕性感染が多く、検査数を増やすほど陽性反応者を見つけ出す傾向を持つため、感染者数が中間目標としての役割を果たしているとは思えません。国民にとって最も重要なの指数は、重症者数や死亡リスクです。
日本での新型コロナウイルスによる死者は、これまで1,000人弱です。2018年の原因別の年間死者数をみると、インフルエンザ3,325人、交通事故4,595人、溺死8,021人です。他の死亡リスクと比較考量しつつ、死者のアラート基準を設けることも必要になります。コロナ感染による重症者の増加や死亡リスクを、今後は経済活動や休校などの制限の判断材料にすべきと考えられます。入院患者や重症者の増加は、医療体制の逼迫化につながります。
新型コロナウイルスのリスクだけを強調して、不安をあおりすぎないことが大切です。これまでのマスコミ報道は、恐怖の新型コロナという前提で、絶対に感染を避けるべきとの論調がほとんどです。一方で、低い死亡率にはほとんど言及していません。結果、国民には新型コロナウイルスへの恐怖感ばかりが蓄積されています。甚大な国民負担を軽減するためにも、早急に経済・社会生活を正常化すべきと思われます。しかし、この際注意しなければならないのが、海外からの渡航者の対応です。

(2020年7月18日 週刊東洋経済)
(吉村 やすのり)

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