新型コロナ感染形式

新型コロナウイルス感染症の再拡大を防ぐには、飛沫感染をいかに防ぐかにかかっています。飛沫はウイルスの周りに水分やたんぱく質が付いたしぶきで、大きさは5㎛~100㎛と小さく目には見えません。この飛沫が鼻や口、目に入って感染するのが飛沫感染です。また飛沫がくっついたドアノブなどに手が触れると、手を介して鼻や口に付いて接触感染も起きます。しかし、新型コロナウイルスは、麻疹のようにウイルス自体が空気中を漂って感染する空気感染はしないとされています。
飛沫による感染を防ぐのに効果的なのはマスクです。通常のコロナウイルスに感染した患者がマスクをすると、ウイルスが広がるのを抑えられるとされています。患者の呼気を集めて飛沫に付いたウイルスを分析したところ、マスクをしない患者では10人中3人からウイルスが検出されましたが、マスクをした11人からは検出されないといったデータも報告されています。当初米国CDCでは、マスク着用に感染予防効果はないと言われていました。ニューヨーク州やハワイ州などマスクの着用率が高い州ほど、新規感染者が減っていました。一方、着用率が低かったサウスダコタ州などは感染者が増えたとされています。
マスクの効果は2つあると思われます。1つはくしゃみや咳を含む飛沫が鼻や口に直接かかるのを防ぎます。1回くしゃみをすると4万個、咳をすると3千個の飛沫がそれぞれ飛びます。近距離で5分間会話しても3千個の飛沫を浴びることになります。屋内だけでなく屋外でも他人に近づく時はマスクをするのが大切です。もう1つは接触感染も防げます。人は通常、1時間に10回以上、自分の鼻や口、目の付近を無意識に手で触ります。マスクで鼻や口を覆えば、接触感染も避けられます。
再拡大を防ぐため、他人との距離を2m以上とるよう呼びかけられています。飛沫感染は、約2m以上なら起きにくいとされています。しかし、飛沫でも大きさが10㎛以下と極めて小さいマイクロ飛沫は、感染力が高いとされ、遠くまで飛ぶうえ長い時間室内などに留まります。マイクロ飛沫は最大4m飛ぶ可能性もあります。ウイルスが付着して室内を漂うと、3時間にわたり感染力を持ち続けるとされています。そのため部屋の換気が大切になります。
感染症の予防としては、飛沫感染につながる3密(密閉、密集、密接)を避けるのが大切です。

(2020寝5月29日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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