新規感染症における医療再建の必要性

国内での新型コロナの感染者数は約942万人です。人口100万人当たりでは、約7万4千人にとどまっています。G7では、フランスが最も多い約46万4千人で、ドイツが約33万8千人で続いています。米国の約26万4千人やカナダの約10万4千人などと比べても、日本は少なくなっています。

日本のコロナ感染者の死亡数は約3万人で、人口100万人当たり248人です。G7の中で際立って少なく、米国の約3千人、イタリアの約2,800人の10分の1以下です。2番目に少ないカナダの1,100人と比べても大きな差がみられます。感染者数と死亡数を抑えたという点では、国際的に高く評価されています。
ロックダウンのような厳格な措置には至らなかったものの、日本は社会・経済活動の制限が長期化しました。海外より感染者数が少ない状況にもかかわらず、度々医療逼迫が起こりました。緊急事態宣言などの強い行動制限の発令を繰り返したのは、感染の波にあわせて柔軟に対応病床を増減できないことに起因しています。
コロナ病床が不足した背景には、中小病院が乱立し、医療スタッフが少数ずつ分散している問題があります。緊急性の高い患者を扱うはずの急性期病床なのに、十分な治療実績がない名ばかり急性期の存在も指摘されています。
社会・経済活動への影響を抑えるためにも、受け皿となる医療機関の集約化と役割分担が最重要となります。事前に役割分担を明確にし、有事には民間病院や開業医も含めて、政府や自治体が指示できるようにするガバナンス強化も必要となります。コロナ禍であらわになった日本医療の非効率を是正し、高齢社会に対応するには抜本的な医療改革が急務です。

(2022年7月6日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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