日本の労働賃金

 大企業の賃上げ率は4年連続で2%を超えています。しかし、主要7カ国(G7)で、日本だけが2000年の賃金水準を下回っています。多くの人が賃上げの実感に乏しく、このままではデフレ脱却の足取りも弱くなってしまいます。この5年で日本の労働生産性は9%伸びた一方で、物価変動の影響を除いた実質賃金の上昇率は2%にとどまっています。生産性向上の成果を賃金で還元できるかどうかが、企業の生き残りを左右します。
 世界を見渡すと、日本の賃金が取り残されています。日本企業の給与・報酬は部長・取締役の幹部クラスでアジア各国に抜かれています。アジア企業は、若手社員でも日本よりも高い賃金を払い始めています。世界では人材獲得競争が広がっています。日本の労使は仕事のスキルではなく、雇用を保証することを重視してきました。優秀な人材には高い賃金で報いなければ、人材の獲得競争で海外企業に後れをとってしまいます。

(2018年1月22日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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