日本の女性医師

日本の女性医師は増加傾向にあります。2016年は6万7,493人であり、10年前と比べて40%増えています。しかし、未だわが国の女性医師の総数に占める割合は最低水準です。経済協力開発機構(OECD)によると、2015年時点で、日本の女性医師の比率は20.3%と、データを確認できる34の加盟国の中で最下位です。最高はラトビアの74.3%、平均は46.1%でした。

日本では医学部卒業直後に90%を超える女性医師の就業率が、卒業後11年では76%まで低下します。30代で家庭か仕事かの二者択一を迫られる女性医師が多くなっています。日本の医療界全体を見渡せば、女性医師が働きやすい環境はなお未整備なままです。出産し、子どもを育てていても、最前線の医師であり続けられるような働き方改革が必要になります。妊娠や育児でライフステージが大きく変わる女性医師が、キャリアを積み、選択肢を増やせるような支援システムの構築が急務です。
病気に関する情報と治療技術が日々更新される医療の世界です。現場から離れる期間が長ければ、瞬く間に取り残されてしまいます。誰もが出産・育児を控えた時期に、現場から遠ざかることに不安を感じます。医師としてのキャリア形成を長期ビジョンで考えることが必要となります。自らのキャリアデザインを自らが立てることが大切です。

(2018年9月3日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

カテゴリー: what's new   パーマリンク

コメントは受け付けていません。