最期の日々の過ごし方

がんで亡くなる人は国内で年間約37万人を超しています。国立がん研究センターのがん患者の遺族にとったアンケート調査によれば、亡くなるまでの1カ月間の療養生活を聞くと、体の苦痛が少なく過ごせたは41.5%、穏やかな気持ちで過ごせたは45.2%、望んだ場所で過ごせたは47.9%で、いずれも半数には届いていません。一方、亡くなる1週間前に患者が強い痛みを感じていた割合は28.7%に達しています。苦痛への対処が不十分、薬の効果が切れた、診療回数・時間が不十分が多くを占めています。
緩和ケアの主流は、オピオイドなどの薬物療法ですが、放射線照射や神経を麻痺させる神経ブロックの注射も有効です。これらを全国約400のがん診療連携拠点病院以外で療養する患者も受けられるよう、国は地域連携を促していますが、体制が整っていない地域も多く見られます。痛みは我慢せず、医師らに伝えることです。耐えることは美徳ではありません。
人生の最期に望む医療やケアを受けられるよう、医師や家族と話し合っておく取り組みはACPと呼ばれます。国が推奨していますが、広がりは十分ではありません。亡くなるまでの1カ月間に、患者と医師の間で療養場所に関して話し合ったは35.7%、蘇生処置について話し合ったは35.1%にとどまっています。早くから話し合っておくことが重要です。
医師がきちんと病状を説明せず、正しく認識していない患者が多いことも問題です。亡くなる1カ月前に、患者が自身の病気をどう考えていたかという問いに対して、重い病状で治らないが49.4%と最多で、重い病状だが治るが18.3%など、病状をよく把握していないとみられる人も多くなっています。治療によって制限が出ることがあります。残りの命の長さとQOLを考え、治療内容を決めることが大切です。治すことが難しい場合には、標準治療を基本としてmその人の価値観に合った治療やケアをすることが大切です。

 

(吉村 やすのり)

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