最高法規としての憲法

 日本国憲法は、98条で自らを最高法規と位置づけています。憲法がさだめている決まりに反する法律や命令をつくることはできません。日本は第2次世界大戦後、明治時代にできた大日本帝国憲法の改正を、日本を占領した連合国軍総司令部(GHQ)に迫られました。政府がGHQの草案をもとにつくった改正案は、帝国議会での審議で修正が加えられ、日本国憲法ができました。
 新憲法の規定に合わない法律を改めなければなりませんでした。皇室典範や内閣法、民法、刑法、戸籍法などです。法律や命令が憲法に反していないか、審査するのが裁判所です。その権限を違憲立法審査権と言い、最終的な権限を与えられている最高裁判所は、憲法の番人と呼ばれています。
 憲法とは、平等や自由といった個人尊重の原理をしめしたものです。この原理に反する法律を無効とする最終権限を最高裁判所に与えることで、最高法規としての安定性を保っています。しかも、法律は衆参両院の過半数の賛成で変えられますが、憲法改正には衆参両院で3分の2以上の賛成で憲法改正発議し、国民投票で有効投票の過半数の賛成を得ることが必要です。

(2018年2月8日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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