未婚ひとり親家庭に対する差別

配偶者と死別・離婚したひとり親には、寡婦控除が適用され、所得税で最大35万円、住民税で最大30万円の所得控除を受けられます。しかし、法律婚を経ないひとり親には適用されず、同じ年収でも課税対象の所得が増えてしまいます。
さらに、低所得世帯の子どもの大学や高等専門学校などへの進学を後押しするため、政府は来年度から給付型奨学金制度を大幅に拡充します。授業料や入学金を減免するほか、生活費などに充てられる返済不要の給付型奨学金が受け取れます。給付額は進学先などによって異なりますが、学生が下宿先から私立大学に通うケースでは、年間90万9,600円の給付型奨学金を受け取れるほか、年間70万円の授業料が免除され、入学金も26万円安くなります。実際に受け取れる額は、年収に応じて3段階で決まり、満額を受け取れるのは住民税非課税世帯です。年収が上がると給付額が減ります。
一方、寡婦控除を受けられない未婚のひとり親の場合は、同じ家族構成でも対象は年収380万円未満の世帯に絞られます。寡婦控除が適用される世帯なら、年収360万円以上430万円未満であれば、年54万円の給付があるのに、寡婦控除がないと、年収380万円以上の世帯は給付がまったく受けられなくなってしまいます。低所得世帯の子どもの進学を後押しする目的で創設された給付型奨学金では、婚姻歴のない世帯が不利に扱われることになってしまします。

(2019年11月19日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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