本庶佑教授がノーベル生理学・医学賞受賞

免疫を抑制する働きを持つ分子PD-1を発見した本庶佑・京都大学特別教授ら2人が、2018年のノーベル生理学・医学賞を受賞しました。日本のノーベル賞受賞は、2016年の生理学・医学賞の大隅良典・東京工業大栄誉教授に次いで26人目です。生理学・医学賞は5人目で、1987年に利根川進・米マサチューセッツ工科大学教授、2012年に山中伸弥・京都大学教授、2015年に大村智・北里大特別栄誉教授が受賞しています。
本庶教授は免疫学の基礎研究に取り組み、1992年に免疫細胞の一種であるT細胞の表面に新たな分子があることを発見し、PD-1と命名しました。がん細胞が、免疫細胞にあるこの分子と結合すると、免疫細胞の働きを抑えるブレーキとなることを突き止めました。こうした分子は、免疫の反応を監視し、必要に応じて抑え込む働きがあります。がん細胞の多くは、これらの分子の働きを高める物質を出し、免疫細胞による攻撃力を弱めて成長を続けます。逆に分子の働きを妨げれば、免疫細胞の攻撃力が復活し、がんは縮小すると考えられています。この仕組みを利用して開発されたのが、オプジーボです。従来の抗がん剤が効きにくい難治性の皮膚がんや肺がんなどに対する新薬として実用化されています。
その結果、発売から2年あまりでオプジーボの年間売上高は1,000億円を超え、小野薬品の2018年3月期の連結売上高は2,618億円と2014年3月期の1,432億円から1.8倍になっています。共同開発した米製薬企業の販売分を合わせると、2017年の世界の売上高は約6,500億円に上っています。

(2018年10月2日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

カテゴリー: what's new   パーマリンク

コメントは受け付けていません。