東京の成長率の低下

東京都の成長率は、全国平均を下回り、総生産が全国に占める割合もじりじりと下がってきています。地方から人口流入が続いているにもかかわらず、そのペースに経済成長が追いついていない状況です。最新データの2015年度までの東京の成長率は7.6%で、全国平均の7.7%をわずかながら下回っています。東京をしのぐ県は東北と東海にあります。トップは宮城県の21.0%で、三重県の15.0%、岩手県の14.1%が続きます。宮城と岩手は東日本大震災の復興事業が大きいと思われます。両県の総生産は産業別でみると建設業が押し上げています。三重の要因は円安を追い風とする輸出の伸びであり、四日市市などに集まる石油や化学などの産業が総生産を押し上げています。
対照的に東京は製造業の比重が小さく、非製造業も伸びが頭打ちです。その結果、相対的に東京の存在が下がってきています。東京の人口は2009~2015年に47万人で3.6%増えていますが、1人あたりの県民所得の伸び率は、8.0%と全国で42位です。少子高齢化の波は東京にも及び、2030年代半ばには東京も人口減少に転じるという予測もあります。

 

(2019年1月7日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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