東日本被災地における外国人労働者の増加

震災で大きな被害を受けた岩手、宮城、福島の3県の生産年齢人口(15~64歳)は、震災後に高齢化や県外転出が加速し、1割強の約38万人が減少しました。国立社会保障・人口問題研究所の推計によれば、2015年には3県で計330万人いた生産年齢人口は、2025年に280万人、2030年には260万人と、全国を上回るペースで減少する見通しです。このように東日本大震災で大きな被害を受けた岩手、宮城、福島の3県で人口減少が進む中、外国人労働者は3倍超に増えています。増加率は国内全体を上回っており、復興を支える担い手として欠かせぬ存在となっています。
一方、2019年10月末の全国の外国人労働者数は約166万人です。震災のあった2011年の約2.4倍となっています。岩手、宮城、福島の3県では、計約2万8千人と3.7倍に急増しています。製造業を中心に外国人を雇用する企業が増えています。今後は、安価な労働力としてではなく、地域の仲間としてどのように迎え入れるのかが大切となってきます。働き手不足が深刻な被災地では、国家戦略特区の枠組みを利用して特定技能の労働者に家族の帯同を認めるなど、地域の魅力を高める工夫が求められます。

(2020年3月9日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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