標準家計と晩産家計

国立社会保障・人口問題研究所などによれば、日本の100歳以上の人口は2015年時点は約6万人ですが、2050年には約53万人に増えるとされています。仮に定年が60歳で100歳まで生きるとすると、その間の収入は年金が中心となり、基本的に預貯金などの金融資産を取り崩しながら生活することになります。定年後の家計状況は、標準家計と晩産家計により異なります。標準家計とは、60歳時点で子どもが独立して住宅ローンも完済している家庭です。一方、晩産家計は子どもの誕生が平均より10年遅く、60歳時点で住宅ローン残高と教育費負担が残る家庭です。



標準家計で支出が平均の家庭は、100歳時点でも500万円近い資産が残ります。仮に支出が多いと、資産が残るのは78歳までになってしまいます。晩産家計は、支出が平均の家庭でも73歳で資産がゼロになります。支出が多ければ6年前倒しの67歳で底をついてしまいます。定年後は現役時代に比べ、手元資金を増やしにくい状況にあります。信用力が低下し、高額のローンを組むのも困難になります。常に家計を見直して老後の蓄えを増やし、資産寿命を延ばし、金融資産の残高がゼロになる時期をできるだけ先延ばすことが大切です。

(2018年6月9日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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