機能的病床数の見直し

 2006年の診療報酬改定により、患者7人に対して看護師1人を手厚く配する急性期病床(回復期病床では151程度)に対し、1日あたり15,660円という高価格を設定しました。それにより、政府の想定をはるかに超えて、全国に急性期病床が急増してしまいました。その結果、高度急性期を含む急性期病床が全体の約6割を占め、回復期病床は1割程度にすぎない状況にあります。わが国の高齢化は今後一層進展するので、重症患者のための急性期病床よりも、高齢者などがリハビリをするための回復期病床が、今後数多く必要となります。
 しかし、高齢化の進展度合いは全国一律ではありません。東京などの都市部のように高齢者が急増し、急性期病床を含む全ての病床数をさらに増やさなければならない地域もあります。一方、既に高齢者数が減少に転じ、既存の病床の一部が不要になりつつある地方もあります。急性期と回復期の病床数を2025年の目標に再編できれば、総医療費は最大28%減少するとの試算がなされています。中長期的な医療費抑制を考えた場合、病床再編による医療供給体制のミスマッチを解消することが大切となります。

(2017年5月11日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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