正規と非正規

勤め人が3人集まれば、うち2人は正社員、1人が非正規社員というのが今の日本の状況です。非正規社員の数は2千万人を超え、労働契約法20条では両者の待遇の不合理な格差を禁じています。最高裁判所は6月1日、同条の解釈を巡る初めての判断を下し、定年退職後の再雇用などで待遇に差が出ること自体は認めつつ、一部の手当を支給しないことは不合理で違法としました。
働き方改革関連法案の柱の一つである同一労働同一賃金の趣旨を、先取りした司法判断です。法案は正規、非正規など雇用形態にかかわらず、公正な待遇を企業に求めています。厚生労働省のガイドライン案では、勤続年数や能力、成果などが同じなら、基本給は同額にするのが原則です。法案が実現すれば、深夜勤務の割増率や通勤手当などに、正規、非正規で差をつけることも認められなくなります。待遇差を認めるのは、能力や責任の範囲、業務への貢献度などに合理的な差がある場合です。待遇差がある場合、内容や理由の説明は企業側の義務となります。

(2018年6月12日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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