正規研究職の就職事情

1990年代、研究力向上をうたい、大学院の定員を増やす大学院重点化が進み、博士課程修了者は1990年からの10年で倍以上に増え、近年は1万5,000人以上で推移しています。しかし、大学教員の新規採用数はその伸びに追いつかず、博士号を取得して大学教員へという進路からあふれるケースが増えてきています。


任期付きの教員の割合は、2007年度に25~29歳で70%、30~34歳で49%、35~39歳で35%でしたが、2013年度にはそれぞれ79%、72%、58%に増えています。1996年にポスドク等1万人支援計画を打ち出しましたが、不安定雇用の状況は解消できていません。企業も博士の採用に消極的であり、博士課程進学者は2003年度をピークに減少に転じています。優秀な学生が博士課程に来ないことは、科学技術大国を目指すわが国にとっては憂うべき状況です。研究の道に進みたくても、将来があまりにも不透明では研究を続けることはできません。

(2018年4月26日 毎日新聞)
(吉村 やすのり)

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