母子手帳の電子化

 母子手帳は、1948年に日本が世界に先駆けて導入した素晴らしい制度です。現在は母子保健法に基づき妊婦から妊娠届があった場合、市区町村に交付を義務付けています。導入当初は乳幼児の死亡率を下げる役割を担っていましたが、その後は産後ケア、発達障害児支援、育児不安や児童虐待への対応といった機能が加わってきています。この母子手帳が進化してきており、スマートフォンなどで子どもの成長記録や健診記録を管理できるよう電子化が進められています。
 電子化の重要性が認識されたのは、2011年の東日本大震災です。母子手帳をなくしてしまうケースが起きました。岩手県では住民の周産期情報を電子化していたため、被災した母子への医療や育児支援を継続できました。アプリをダウンロウードすれば、スマホや多機能携帯端末などで利用できます。子どもの出生日を登録すると予防接種の日程を表示し、予定日が近づくと通知が来ます。身長や体重のグラフを作り、写真を貼った日記などを家族で共有できます。子どもの生年月日から離乳食を始めるタイミングなどを割り出し、その時どきに必要な情報を発信することもできます。

(2017年5月25日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

カテゴリー: what's new   パーマリンク

コメントは受け付けていません。