永田町の喫煙対策

2018年7月に成立した改正健康増進法に基づき、国会は昨年4月から、飲食店や会社などと同じく原則屋内禁煙となりました。しかし、煙が外に漏れない喫煙専用室があれば喫煙できます。屋外も含めて敷地内禁煙となり、屋内は完全禁煙とした学校や病院、行政機関などに比べると規制は緩いままです。衆参両院の事務局によると、こうした国会内の喫煙専用室は、各議員の事務所が入る議員会館も含めて計79か所あります。
当初、厚生労働省が示した案では、国会も含めた官公庁全体が屋内完全禁煙でしたが、法案提出時に行政機関に後退してしまいました。たばこを吸う議員に配慮した妥協の産物です。規制推進派のある議員は、国会は行政機関ではなく、議決機関だという理屈で区別されてしまったと言えます。
国会議員の意識改革は進んでいません。国会内は喫煙専用室以外での喫煙が禁じられたのに、議員会館の自室での違法喫煙は後を絶ちません。未だに国会には議員の特権意識が残っています。国民に禁煙をお願いする立場の議員こそ、範を示すべきです。大半の公共施設が屋内完全禁煙となる中で、国会が特別扱いされたことには納得できません。

(2021年2月19日 読売新聞)
(吉村 やすのり)

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