求人倍率の上昇

 有効求人倍率とは、厚生労働省が公共職業安定所におけるひと月の求人数を求職者数で割った数値です。1を超えると人を探している企業のほうが多い状態を示します。厚生労働省の発表によれば、4月の有効求人倍率1.48倍と、バブル経済期の水準を超えました。19742月以来、43年ぶりの高さで、空前の売り手市場となっています。労働市場の逼迫感は強く、正社員に絞った有効求人倍率も初めての1倍を超えそうな状況です。
 総務省が発表した4月の完全失業率は2.8%と、前月と横ばいです。求人があっても職種や年齢などの条件で折り合わずに起きるミスマッチ失業率は3%台前半とされています。3%割れは、働く意思のある人なら誰でも働ける完全雇用に近い状態にあります。人手不足感は業種でばらつきが大きく、求人倍率は、介護関連、建設・採掘、輸送・機械運転で高くなっています。一方、事務職などでは求人倍率がまだ低いままです。業種ごとで人手不足による賃金上昇への波及にも偏りが出る可能性があります。

(2017年5月30日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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