海外永住者の増加

日本人の海外流出が静かに進んでいます。外務省の海外在留邦人数調査統計によれば、2022年10月現在、日本から海外に生活の拠点を移した永住者の累計が、過去最高の約55万7千人になっています。新型コロナ禍で長期滞在者が減少する一方、永住者は前年比で約2万人増えています。
3カ月以上海外で暮らす日本人の合計は、約130万9千人です。このうち、長期滞在者は約75万1千人と、3年連続で減少しています。一方、原則として在留国で永住権を認められた永住者は、20年連続で増加しており、10年前と比べると14万人超増えています。
地域別では、北米の約27万4千人や西欧の約9万人、大洋州の約7万6千人が多く、3地域でほぼ8割を占めています。男女別では、女性が全体の62%と多く、30年前と比較しても7ポイント増えています。より良い生活や仕事を求めて生活の拠点を移す人の動きや国際結婚、現地での出生などが影響しています。永住権の取得は国によって異なっていますが、語学力や収入などの申請要件があり、一般的には容易ではありません。
賃金や労働環境、社会の多様性・寛容性などの面で、日本よりも北米や西欧諸国に相対的な魅力を感じる人が多くなっています。近年、社会問題化している出生数の減少と比較しても、規模として無視できません。人口移動の中心は若い世代であり、社会の様々なところに影響を及ぼすことになります。

(2023年1月27日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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