潜在成長率と労働生産性

 潜在成長率とは、資本、生産性、労働という生産活動に必要な3要素をフルに利用した場合に達成される仮想上の成長率をいいます。生産活動に必要な設備などの資本、労働力人口と労働時間から求められる労働、技術の進歩によって延びる生産性の合算値です。国の経済の実力を示すとされる潜在成長率は、先進国では低下傾向にあり、特に日本は低くなっています。
 ①企業の設備投資や投資を増やす、②労働力を増やす、③技術革新などによって生産性を高め、新たな成長産業も生み出すことにより、潜在成長率は上がります。2016年の就業者数は6,465万人で、2012年から185万人増えています。女性と高齢者の就業者の増加が寄与しています。しかし、働く人がいかに効率的に成果を出したか示す労働生産性は、この10年間伸び悩んでいます。経済協力開発機構(OECD)の統計からも、生産性が伸び悩んでいるのが分かります。今後、生産年齢人口(1564歳の人口)の減少ペースは速まります。女性や高齢者の労働参加に限界があります。今後は少子高齢化社会にあって、いかにして労働生産性を上げるかが大切になります。

 

(2017年10月2日 読売新聞)
(吉村 やすのり)

カテゴリー: what's new   パーマリンク

コメントは受け付けていません。