潰瘍性大腸炎の再生医療

東京医科歯科大学のチームは、患者の大腸から粘膜のもとになる幹細胞を採取・培養して患部に移植し、粘膜を再生する初の臨床研究に乗り出します。大腸の粘膜に炎症が起きる原因不明の難病である潰瘍性大腸炎の治療を目指しています。潰瘍性大腸炎は、大腸の粘膜に炎症や潰瘍ができ、下痢や血便、腹痛などを起こします。国内の患者数は20万人以上とみられ、国の指定難病の中でも頻度の高い病気です。薬などで炎症を抑える治療が一般的ですが、重症の場合は症状が繰り返して悪化し、大腸がんになる恐れもあるため、大腸切除を余儀なくされることもあります。
臨床研究では、重症患者の大腸から正常な粘膜を採取し、粘膜に含まれる幹細胞などを約1か月培養します。直径0.1~0.2mm程度の球状に細胞が集まった立体構造(オルガノイド)を作ります。それを内視鏡で患部に移植します。マウスの実験では、粘膜が再生し症状が改善しています。細胞をオルガノイドにして人に移植するのは世界初の試みです。潰瘍性大腸炎と同じ炎症性腸疾患の一つで、患者数が約4万人に上る難病クローン病についても、同様の臨床研究を検討しています。

(2018年6月17日 読売新聞)
(吉村 やすのり)

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