無戸籍者の解消

法務省は、親が出生届を出さず、戸籍に記載されない無戸籍者を解消するための有識者による研究会を設置します。無戸籍者は、夫の暴力から逃れて別居中の女性が別の男性との間に子をもうけた場合、夫の子として戸籍に記載されることを避けるために出生届を出さないことなどで生じます。無戸籍者は住民票やパスポートを取得できず、本人名義で部屋を借りたり、銀行口座を開いたりすることができません。法務省が把握している無戸籍者は、全国で715人にも及んでいます。民法では、離婚後300日以内に生まれた子どもは、元夫の子と推定すると規定されており、無戸籍者解消の妨げになっています。
研究会では、生殖補助医療による親子関係についての法整備も議題とする予定です。現行法は、夫婦以外の第三者が関与する生殖補助医療による出産を想定していないため、親子関係についての明確な規定がありません。研究会の意見を集約し、来年にも法制審議会へ諮問することを視野に入れています。これまで生殖補助医療で生まれた子どもの親子関係については、2001年4月に法制審議会生殖補助医療関連親子法制度部会から中間試案が出されましたが、民法改正にはいたっておりません。

(2018年8月30日 読売新聞)
(吉村 やすのり)

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