無痛分娩

 現在わが国で実施されている無痛分娩は、ほとんど硬膜外麻酔で実施されています。脊髄の外にある硬膜外腔にチューブを入れて、麻酔薬を注入する方法です。日本産科婦人科医会の調査によれば、無痛分娩の割合は2014年度が4.6%、2015年度が5.5%、2016年度が6.1%と徐々に増えてきています。厚生労働省研究班による2008年度の推計2.6%と比べて、倍以上になっています。お産をする施設を集約化している米国やフランスでは、無痛分娩が半数以上を占めています。
 お産の痛みが無くなることがメリットですが、痛みが無くなるといきみを感じられなくなったり、子宮収縮が弱くなる場合があり、鉗子分娩や吸引分娩が多くなる可能性があります。麻酔薬がくも膜下腔に入った場合、徐脈、悪心や低血圧などの症状が出て、呼吸停止することもあります。医会の調査では、2016年度の無痛分娩のうち半数以上が診療所でした。無痛分娩には、必要な資格や認定制度はありません。無痛分娩のリスクを前もって十分に説明し、緊急事態が発生した場合の応急処置の体制が整っていることが大切になります。

(2017年8月25日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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