物流危機

 インターネット通販の普及で宅配便の取扱数が増える一方、トラック運転手や仕分け作業員ら担い手が不足しています。国土交通省によれば、2015年度の宅配便の取扱個数は37億個となり、2014年度より4%増えています。5年前の2010年度比では16%増となっています。宅配業者は、人手不足とインターネット通販の市場拡大による物流危機のために、長時間労働が常態化しています。有効求人倍率はトラックを含む運転職で2倍を超え、確保が難しくなっています。配送時間の指定サービスが広がって負荷が高まり、年末年始に遅配も発生しました。世界に誇る日本の宅配モデルは、岐路に立たされています。
 トラック運転手は長時間労働の割に低賃金です。厚生労働省によると年間労働時間は全産業平均より2割ほど長くなっています。しかし、年間所得額は大型トラックで約1割、中小型トラックは2割低い状況です。他産業より早いペースで高齢化も進んでいます。鉄道貨物協会の予測では、2020年度に約10万人のトラック運転手が不足するとされています。深刻なドライバー不足を背景に、広がるネット通販を支えてきた即日発送などの物流サービスにきしみが生じています。

(2017年2月23日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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