特別養子縁組の対象年齢の引き上げ

特別養子縁組とは、経済的な事情や虐待などを理由に、生みの親の元で暮らせない子どもと、血縁関係のない夫婦が法的な親子になる制度です。生みの親との法的な関係が消え、戸籍上も育ての夫婦の実の子どもと同じ扱いになる点などで、通常の養子縁組と異なります。法制審議会の部会は、生みの親が育てられない子と、子を育てたい夫婦が法的な親子になる特別養子縁組制度の見直し案をまとめました。原則6歳未満としている対象年齢を原則15歳未満に引き上げることと、養子縁組の手続きの際、養親となる人の負担を軽減することが主な柱です。1987年の法改正で導入された特別養子縁組の制度が見直されるのは初めてです。
厚生労働省によると、貧困や虐待によって親元で暮らせない子どもは、全国に約4万5千人おり、約8割は児童養護施設などで暮らしています。これに対し、2014、2015年度で成立した特別養子縁組は920件で、約7割は2歳以下の乳児でした。児童相談所などが特別養子縁組を検討すべきだと判断しながら断念したケースは298件あり、46件は原則6歳未満の要件が理由でした。どの子どもにも、法的に安定した家庭を保障すべきで、年齢が壁になるのは、児童福祉の精神に反するとの意見もあります。子どもの年齢が高くなるほど、新しい親子関係を築くのは難しくなります。縁組後の養親家庭をケアする制度も大切となります。

 

(2019年1月30日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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