特別養子縁組制度の法改正

法制審議会は、特別養子縁組制度に関する法改正の要綱を答申しました。原則6歳未満とされてきた養子の対象年齢を、原則15歳未満に拡大することが柱です。1988年に始まった特別養子縁組制度は、実親とは暮らせない子供に対し、血縁のない夫婦と親子になる道を開く制度です。予期せぬ妊娠や経済的な困窮で実親が民間団体に相談したり、虐待を受けた子供を児童相談所が保護したりした後、縁組の検討に入ります。厚生労働省によると、0~2歳が約7割を占めています。
しかし、特別養子縁組の成立はここ数年、年間500~600件程度にとどまっています。親が養育できずに保護を必要とする子供は2018年3月末時点で約4万4,000人にのぼりますが、ほとんどは児童養護施設などで暮らしています。縁組成立の厚い壁となってきたのが、年齢制限や同意の要件です。

最終的には、遺言などで本人の意思が尊重される15歳で線引きしています。要綱案は、15~17歳でも①本人の同意がある、②15歳になる前から養父母となる人に養育されている、③15歳までに縁組を申し立てられなかったの三つを全て満たせば、特別養子縁組の対象にするとしています。対象年齢の拡大で養子となる子供の年齢が高くなれば、実親との関係を断ち切る決断は重くなります。
新制度では、実親が縁組に同意してから2週間たつと撤回できなくなります。現行制度では、実親が土壇場で同意を撤回して混乱するケースもあり、制限を設けています。また、児相の所長も家裁に縁組を申し立てられるようにしています。養父母が家裁に縁組を申し立てる場合、実親の養育状況が不適切だと養父母が立証しなければなりませんでしたが、児相が立証すればよくなります。

(2019年2月14日 読売新聞)
(吉村 やすのり)

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