特別養子縁組制度を考える―Ⅱ

実親の同意
特別養子縁組をするためには、養親が家庭裁判所に縁組を申し立てる必要があります。家庭裁判所の調査官による家庭訪問などを受け、家庭裁判所の審判で成立します。6カ月以上同居する試験養育期間は、子どもは同居人という位置づけです。実親は、縁組確定前ならいつでも縁組への同意を撤回することができます。家庭裁判所の審判終了後、2週間以内に実親の異議申し立てがなければ確定です。
養育する意思のない親であっても、同意に納得できないと言われれば、話は進みません。実親と連絡が取れなくなって意思確認ができず、養親の縁組申し立て手続きが滞ることもあります。また、審判確定まで実親が同意を撤回できることから、実親の意向次第で子どもの養育環境が何度も変わる可能性もあります。実親の心の揺れを、いつまで認めるのかの線引きはとても難しいものがあります。子どもを手放す親がより納得できるように、心の揺れに寄り添う丁寧な相談体制を整えることが大切です。

(2018年6月14日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

カテゴリー: what's new   パーマリンク

コメントは受け付けていません。