生分解性プラスチック

プラスチックごみによる海の汚染に世界の関心が高まり、微生物が分解する生分解性プラスチックが注目を集めています。石油から作る従来のプラスチックは軽くて強く、なかなか分解しないのが特徴です。ペットボトルや食品の包装、レジ袋などに使われ、世界全体で約4億tが生産されています。プラごみは分解されず、海を漂う間に粉々になり、餌と一緒に魚や貝などが食べてしまいます。こうしたマイクロプラスチックと呼ばれる微粒子には有害物質が付着しやすく、魚を食べた野生生物や人間などに悪影響が及ぶ可能性も指摘されています。
この問題を解決するために開発されたのが、生分解性プラスチックです。生分解性プラスチックの原料は、大きく分けてトウモロコシなどの植物と石油があります。微生物にプラスチック素材を作らせるほか、石油から化学合成する方法などがあります。代表的な素材のポリ乳酸はヨーグルトで知られる発酵技術を使い、トウモロコシなどのでんぷんから乳酸を作り、それを化学合成します。分解に要する時間は条件によって変わります。使用時は従来品に近い機能や性能を持っていますが、使用後は土などにすむ微生物に食べられ、最後は二酸化炭素と水になります。海に流出しても分解が進めば、汚染の防止につながります。

 

(2018年11月2日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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