甲状腺がんの治療法の進歩

甲状腺がんの患者は、超音波検査の発達で増えています。2003年に全国で約8千人だった甲状腺がんの新規の推定患者数は、2013年に約1万5千人にまで急増しています。増えた患者の多くは、がんの大きさが1㎝以下で、他の組織への転移や浸潤がない超低リスクの患者とされています。超低リスクのがんは、時間が経ってもほとんど大きくならないとされ、成人患者の半数は手術をせず、経過観察だけで過ごす方法を選んでいます。超低リスクの患者が多く見つかる一方、高齢化で死亡者数は少しずつ増えています。
甲状腺がんは、がんの形や状態によって、乳頭がん、濾胞がん、髄様がん、未分化がんの4タイプに大きく分けられます。ここ5年で甲状腺がんの治療が大きく変わってきています。がんを狙い撃ちする分子標的薬の登場で、これまで治療法がなかった患者でも助かる人が出てきています。以前は放射性ヨウ素から先の治療が無かったのですが、どのタイプでも、承認されている3種類の分子標的薬のいずれかを使うことができます。分子標的薬が承認されて生存率は良くなっています。

(2020年11月4日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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