男性不妊の診断と治療

不妊に悩むカップルの半数は、男性に原因があります。精液に精子がない無精子症は、男性の100人に1人くらいみられます。精子がつくられていない非閉塞性と、精子はつくられているが通り道に問題がある閉塞性があります。無精子症の3分の2は非閉塞性です。複数回の精液検査や触診、ホルモン値を調べる血液検査などをもとに診断します。
非閉塞性は、原因不明の場合が多く、精巣を開いて顕微鏡で見ながら内部のわずかな精子を探すマイクロTESEという手術で、3割ほどの人が精子を回収できます。閉塞性は、精巣上体の炎症や幼少期の鼠径ヘルニアの手術などが原因で起こります。治療は、精子の通り道を再建する手術や、精巣内の精子を回収するTESE手術があります。閉塞性の場合、ほぼ100%精子を回収できます。
厚生科学研究によれば、男性不妊の内訳は、精子をつくる機能の障害が8割、勃起や射精がうまくできない障害が1割でした。精液の状態は、無精子が17%、精子の数や運動率が低下した人は全体の7割を占めています。
不妊に悩む男性の3割が患う精索静脈瘤は、血液が逆流して精巣につながる血管にこぶができ、精巣の温度が上がり、精子をつくる機能に影響を与えます。問題がある血管をしばる手術を行うと、7割余りで精液の状態が改善します。勃起障害は、治療薬で9割近くが改善します。射精障害のうち、糖尿病の神経障害などで起こる逆行性射精も、のみ薬で治療できます。

(2021年12月23日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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