男性更年期障害

 男性の更年期障害は、医学的に加齢男性性腺機能低下症(LOHlateonset hypogonadism)と呼ばれます。しかし、男性更年期障害とLOH症候群は、厳密に言えば微妙に異なります。症状を有した患者をまとめて男性更年期障害とし、その中で血中テストテロン値が明らかに低下している患者をLOH症候群と診断します。LOH症候群の基本的な症状として、抑うつ、睡眠障害、筋力低下、内臓脂肪の増加、皮膚の変化、骨粗鬆症などと共に性機能障害が挙げられます。
血中テストテロン値が低下すると勃起機能が低下します。血中テストテロン値が低下するにつれ、勃起機能のみならず性欲、性活動のいずれも低下することも確認されています。また40歳以上の中高年を含めた検討においても、活力および体力の低下(持続力の低下、運動能力の低下、食後の眠気)と共に、性欲の低下が低テストテロン血症に最も関連している症状であったと報告され、性機能とテストテロンの関連性が強調されています。
LOH症候群に対する治療の第1選択はテストテロン補充療法です。EDに対する第1選択はホスホジエステラーゼ5阻害薬(バイアグラ)ですが、性欲の低下を伴うED患者にはテストテロン補充療法が優先されるべきです。

(日本医師会雑誌第145巻・第2号)
(吉村 やすのり)

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