画像診断結果の見落とし

近年画像検査の診断報告書の確認不足による見落としの事例が多くなっています。経済協力開発機構(OECD)によると、人口1千人当たりのCTの撮影回数は、日本は231回と加盟国中で2番目に多くなっています。放射線科医の読影術も向上し、昔だと分からなかった病気が見つかるようになる一方で、報告書内の重要情報を見落とすリスクも高まっています。画像診断報告書だけではなく、患者から採取した細胞などの診断結果を記載する病理診断報告書などでも患者の命に関わる重要情報の見落としが起き、治療が遅れた事例が発生しています。
現在の大学病院の医師は専門性が高くなっていますが、その一方で日常的に治療する臓器以外は必ずしも詳しくありません。このため、主治医が予期しない重要な病気などを検査で見つけた場合、画像診断部の医師は、見落としが起きないよう主治医に直接連絡することを周知することが大切となります。さらに画像診断報告書は必要に応じて患者に交付してきましたが、原則すべての患者にわたすことも必要かもしれません。それによって、医師が見落としたり忘れたりしてしまうのを、患者からの指摘で防ぐことができることもあります。

(2018年3月19日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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