留学生の感染症

日本学生支援機構によれば、日本に来る留学生は、2011年に16.3万人でしたが、2017年には10万人あまり増え、26.7万になっています。留学生ビザを取得するなどして、日本に3カ月以上滞在する外国人は、国民健康保険(国保)に加入する義務があります。前年に所得がない留学生だと、月に5,000円程度支払えば、日本国民と同じように原則3割の自己負担で様々な医療を受けることができます。これは、外国人にとっては非常に魅力的な制度です。さらに、高額療養費や特定疾患の制度を使い、自己負担を減額することもできます。
例えば、C型肝炎は本来なら数百万円の治療費が必要となりますが、日本の国保に入れば国保の保険料と、月あたり1万~2万円の治療費で済みます。完治には3カ月程度かかりますが、自国で認可されていない新しい薬が服用でき、保険がないまま医療ツーリズムで来日して高額な医療費を支払うことより格段に安上がりです。
もっとも深刻なのは、周囲に感染する病気を持った人が留学生として入国した場合です。低栄養や異文化でのストレスなどから結核を発症し、日本語学校で集団感染となる事例も各地でおきています。麻疹や風疹が持ち込まれ地域に拡大するリスクも常にあります。これらは留学ビザを取得する際に事前に病気の有無を証明する診断書を提出させ、ワクチンの接種確認などを義務づければある程度防げます。わが国の結核の総患者数は減少していますが、外国生まれの人の患者数は増えています。留学生ビザを持った20代の若い外国人で増えています。結核に関しては、厚生労働省・外務省がアジア6カ国に対して、入国前に健康診断を受けるよう動き始めています。

(Wedge May 2018 vol.30 №5)
(吉村 やすのり)

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