病院の紹介状

 病院の紹介状とは、医師が別の医療機関に患者を紹介する際に作成する書類です。正式に診療情報提供書と呼びます。紹介状には病名や紹介する目的、治療経過や検査結果、処方薬などが記載されています。紹介状を持たず病床数が500床以上の大病院で初診を受ける場合、原則5千円以上の特別料金を診察料と別に支払う必要があります。紹介状を書いてもらう費用は原則2,500円で、自己負担割合が3割の人ならば750円を支払います。日本は、先進国としては珍しく、患者が診療所や大病院を自由に選べる医療のフリーアクセスが保証されています。大病院だから安心などの理由で、軽度な病気や怪我で多くの人が大病院に通い、高度な治療を必要とする患者の妨げになっています。
 現在は500床以上の大病院に限っていますが、400以上を軸に中規模病院にも対象を拡大することになります。病院数は、現在の260程度から約400まで5割増えることになります。深刻な患者集中や医療スタッフ不足で、大病院が高度な専門性を発揮できなくなっており、緊急度の低い患者を地域のかかりつけ医などに誘導するのが狙いです。画像診断などの検査機能や医療機器が格段に充実している大病院では、同じ病気でも医療費が高くなる傾向が強く、外来医療でみると1日あたりの医療費に2倍の開きがあります。診療所で治療を済ませる人が増えれば、膨張が続く医療費の抑制にもつながります。

(2017年11月16日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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