白内障

 白内障は、水晶体がたんぱく質の変性を起こして白っぽく、あるいは黄色っぽく濁ってしまう病気です。水晶体を通る光が妨げられて視力が下がったり、物がかすんだり二重に見えたり、光をまぶしく感じたりします。大半は加齢に伴う病気で、50代で約6割、60代で8割、70代で9割、80代ではほぼ100%が白内障になるといわれています。若い年代で発症する例もあります。遺伝的な理由やアトピー性皮膚炎に伴う若年性白内障や、顔を殴られたり野球のボールを目に当てたりすることによる外傷性白内障があります。また、加齢性の白内障では糖尿病の人や強い近視の人は、発症する年齢が低くなる傾向があります。
 いったん濁ってしまった水晶体を元に戻したり、進行を確実に遅らせたりする薬はありません。手術で水晶体を取り出して、その代わりに眼内レンズを入れるのが現在唯一の治療法です。白内障手術は全国で年間140万件以上行われています。手術では黒目と白目の境目のあたりを少し切り開いて、超音波によって水晶体を細かく砕いて吸い出します。水晶体があった場所に透明な眼内レンズを代わりに入れます。手術自体は1020分で終了し、日帰り手術も広く行われています。手術費用は、3割負担の場合で片眼で5万円程度です。

(2017年8月3日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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