皮脂欠乏性湿疹

健康な皮膚は、自ら分泌する皮脂が表面を覆い、水分の蒸発を防いでいます。角質層の細胞には水分を保持するアミノ酸類などの天然保湿因子があり、角質細胞同士の間にあるセラミドなどの角質細胞間脂質も皮膚の水分の蒸発を防いでいます。このような皮膚の潤いが、皮膚のバリアー機能を保つには重要です。加齢とともに皮脂や天然保湿因子、角質細胞間脂質は減り、皮膚が乾燥して表面の皮脂膜やその下の角質層に隙間ができたりはがれたりします。
バリアー機能が低下し、外部の刺激に弱くなり、炎症が起きます。それが皮脂欠乏性湿疹です。皮脂欠乏性湿疹が一番できやすいのは脛です。他に太ももや腰の周辺、脇腹、背中の下のあたりにもできやすいとされています。
バリアー機能の衰えを補うには保湿が基本となります。保湿剤には、ワセリンのように水分蒸発を防ぐタイプと、水分と結合して皮膚の水分を保持する働きのあるヘパリン類似物質や尿素が入っているタイプもあります。風呂から上がり、5分以内の皮膚が湿っている間に塗るとより効果的です。湯の温度が高いと、皮膚の皮脂や角質細胞間脂質が必要以上に奪われます。冬は風呂に暖房を入れるなど体が冷えないように工夫して、湯温を38度ぐらいにとどめておくほうがいいとされています。
入浴時に石鹸をつけて洗うのは原則、脇の下と股周辺だけです。タオルは使わずに、手で石鹸を泡立てて洗うのが良いとされています。中高年になったら、必要以上に皮膚を取ったりするとバリアー機能が損なわれてしまいます。

(2019年1月16日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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