看取りクライシス―Ⅳ

高齢者の孤独死
内閣府の最新となる2019年版の高齢社会白書によれば、高齢者の孤独死は過去最多を記録しています。孤独死とは、誰にも看取られることなく、亡くなった後に発見される死亡のことをいいます。
東京23区における一人暮らしで65歳以上の人の自宅での死亡者数は、2017年に3,333人に達しています。2003年に1,451件からほぼ右肩上がりで上昇を続け、現在は約2倍以上に増加しています。また孤立死を身近な問題だと考える一人暮らしの世帯では、50.7%と5割を超えています。孤独死の平均年齢は61歳で、その8割を男性が占めています。さらに、発見までの日数は平均17日です。つまり中年男性は長期間にわたって遺体が放置され、なかなか見つけてもらえない状況にあります。
イギリスでは孤独担当大臣を設置するなど、国を挙げての孤独、孤立対策に乗り出しています。わが国でも孤独死の明確な定義づけを行い、その実態把握に乗り出す必要があります。私たち社会を生きる一人一人が孤独死を他人事とせず、この問題と真摯に向き合っていく必要があります。

 

(Wedge September 2019)
(吉村 やすのり)

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