睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは

SASとは睡眠中に舌の根元が落ち込んで気道をふさぐことで、しばしば呼吸が止まる病気です。睡眠中、10秒以上の無呼吸または低呼吸が1時間に5回以上ある状態と定義されています。ほとんどは舌の根元が落ち込んで気道をふさぐことにより起こります。男性では40代、女性では閉経後の50代から増え、国内の患者数は約500万人と推定されています。
深い睡眠が取れないため慢性的な睡眠不足になり、仕事中に居眠りすることも多くなります。SAS患者が交通事故を起こす頻度は、健康な人の2.5倍に達します。年を取って筋肉がゆるみ、太って喉の周りに脂肪がつくことでも起こりえます。気道が狭くなって空気が通りにくいため、大きないびきをかきます。夜間頻尿も症状の一つです。昼間の眠気に加え、生活習慣病や動脈硬化を起こしやすくなるおそれもあります。
治療は、睡眠中に鼻に付つけたマスクから空気を気道に送り込みCPAP療法が基本です。いびきや無呼吸がゼロになり、続けるうちに血圧や血糖値が下がる人も多くなります。無呼吸が1時間に20回以上ある場合は保険適用になり、1カ月の費用は約5千円です。軽症の場合は、下顎を固定するマウスピースを使い、無呼吸を起こりにくくすることです。予防は、まずは太らないことです。深酒をすると筋肉が緩みやすいので、過度の飲酒は控えることが大切です。運動も有効です。寝るときは、仰向けよりも横向きの姿勢が勧められます。

(2018年9月8日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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