社会保障費の増加

 国家予算の大きさを示す一般会計の総額は、2017年度予算で974,500億円余りです。その中で、年金や医療に充てる社会保障費は324,700億円強となり、一般会計の3分の1を占めています。高齢化で毎年増える社会保障費が一般会計を膨らませる構図が続いています。骨太の方針では、社会保障費を含む政策経費を、借金に頼らずに賄う基礎的財政収支を2020年度に黒字化するとしています。2020年度目標から逆算する形で、社会保障費の伸びを年5,000億円程度に抑えるというのが予算編成の共通認識となっています。
 政府は、増税を先送りにしたにもかかわらず、社会保障の拡充の一部は予定通り実施しています。消費税率10%引き上げは、2度にわたって延期されました。高齢者の医療費負担の引き上げの検討において、収入に加え資産も考慮する仕組みが必要となります。年金では、高齢者が長く働ける環境を整えつつ、保険料の納付期間や受給開始年齢を、自らの意思で自由に先延ばしできる制度の大幅な拡充を早期に検討すべきです。要介護者の増加に歯止めをかけるため、要介護度を上げないような仕組み作りも必要となります。

(2017年6月26日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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